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「うぅ……うっく、ひっく、」
「はぁ…とにかく、今日はもう解散して、」
総隊長が解散の合図を出そうとした時だった、会議室の扉が何者かによって開けられた。
「まぁそう泣かないでくれ。」
「さくらが言ったんでしょ。ごめんね、うちのさくらが。」
突然の来訪者。
その場に似つかわしくない声に隊員が一斉に声のする方を向いた。
「おおーすごい数。」
「誰だ?」
総隊長が低くした声で言う。サキもその目線の先を追うと、
そこには穏和な表情の男と、背の高い黒髪の男が立っていた。
だが、そんなことよりも僕は男の後ろに目が釘付けになる。そこから微かに見える金髪に。
背の高い男の後ろから覗く白に近い金色。
堪らなく抱き着きたくなるのを必死でこらえる。
あれは僕のだいだいだいすきな金色だ。大きいのに隠れようとするその仕草が何より愛らしい。
姿を見るだけで涙は止まった。
姿を見るだけで心が満たされた。
ああ、やっぱり、
あなたが何があっても生徒会を嫌いになれないのと一緒で。
僕はどんなことがあってもあなたを嫌いになるなんて、できません。
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