第一章

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新しいものを手に入れるとなんだか元気になる。 私はホームに戻ると、やって来た列車に乗り込んだ。 出発までまだ時間があったから中はがらんどうで、好きな席を選べたのでボックス席の窓際にした。 バッグからお気に入りの手帳を取り出して、さっきのペンで今日の記録を書きつける。 迷ったこと、先輩らしき人が助けてくれたこと、そして新しい筆記用具なんかを手にいれたこと。 私の街での生活に比べるとこの午前中だけで数ヶ月分くらいの物珍しいことのパレードだったから書くネタには困らない。 「ここいいかな?」 夢中になって書いていたら不意に声をかけられた。
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