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ラムゥはスーツケースに洋服やお気に入りの本などをぴっちりとつめると、ショルダーバッグには貴重品と宝物、ボストンにはぬいぐるみなどのふんわりとしたものをメインに入れた。
買ってもらったサンダルや、かわいいメモ用紙など持って行きたいものはあふれるほどたくさん。
何度も試行錯誤していれ直し数時間かけてやっとのことで荷作りをすませた。
「ラムゥ、荷作りはもう済ませたの?」
いつの間にかドアの向こうに立っていたらしいママの声がした。ラムゥはドアを開けると出来上がりを見せた。
ママはふっと微笑むと
「14歳の少女の全財産って感じね」と言った。
ラムゥは確かにそうだわと思いながら頷く。
「その全財産にこれも加えてはどうかしら?」
ママがエプロンのポケットから取り出してラムゥに見せたのは赤い革張りの宝石ケース。
「開けて御覧なさい」
促されるままにラムゥが開けると、そこには細いチェーンのネックレスが入っていた。
きらめくホワイトゴールドのチェーンの先端に小さな宝石のついたクマの形のプレートがゆらゆらと揺れている。
「我が家の女の子が14歳になるともらうお守りよ。ママも14歳になって少ししたころにママのママからもらったの。新品ではないし、14さいってちょうど動物のペンダントなんて嫌だって思う年齢かもしれないけれど……」
ママの言葉にラムゥは急いで首をふった。
「ううん、とってもすてき!私ずっと大切にする!」
確かに新品ではないのだろうけれど、よく丁寧に手入れされていたのに加えて、みがきたてられていたのでまるで新品のように見えた。
なによりも代々受け継がれているものを持つのがとても嬉しかったのだ。
ラムゥはそのネックレスをショルダーバッグの一番奥底深くに大切にしまった。
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