第一章

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柱と柱の間をぬうように人の波は進む。 両脇には様々なお店が明るく火を灯してにこやかに開いている。 お弁当にパン屋さん、レストランやカフェだけじゃなく、スーパーや本屋さんにちょっとした土産物屋さん。 思わず見とれて立ち止まりそうになるけれどその度に後ろの人に靴を踏まれた。 私はどうにか端の方まで歩くと、また道の脇に出て、壁に背をピッタリとつけしゃがみこんだ。 ダメだ。 人の流れが早すぎて、どこに向かうのか見ている余裕がない。 田舎の方に住んでいる自覚はあったけれど。こんなにも都会に順応できないだなんて思っても見なかった。 田舎者、か。 なんとも解せない、なにが理由なのかわからない感情が湧き上がり、鼻の奥がぎゅっとつままれたかのように痛くなった。 きっと今、私の鼻は赤い。 「大丈夫?」
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