第一章

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顔を上げると濃紺のパンツが目に入った。 更に顔を上げるとはるか空のほうに少年の顔があった。 「君、もしかしてレーゲンボーゲンの新入生じゃない?」 彼は自分の持っているボストンバッグを揺すってみせた。 彼もまたレーゲンボーゲンのボストンバッグを持っていた。 薄い水色のチェックの半袖シャツに仕立てのいい真っ白なベスト。都会では男の子もおしゃれなのだろうか。 完全に気後れしていると、彼はそんな私の気持ちを察してくれたのか無言でいる私に手を差し出すと 「まぁ起きなよ。ちょうど僕もホームまで行くところなんだ。ホームまで一緒に行こう。慣れないとこの駅、わかりづらいだろう。」 と言った。 おずおずとその手を掴むと彼は私の事を一気に引き上げてくれた。 立ち上がるとしゃがんでいた時以上に背が高い事がわかった。 駅を行き交う人々よりもずっと背が高い。 彼は私のスーツケースを引いてくれると半歩先を歩き始めた。
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