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チュン...チュンチュン
薄く隙間が空いたカーテンから朝日がこぼれ落ちる。
眩しい。
ん...何かがおかしい。
・・・っ!!
ガバッ
オレは急いで起き上がり、時計を見る。
【8:12】
背中を冷たい汗が流れる。
ハァ、今日は遅刻決定だ。
寝ぼけた頭で制服を手に取る。
いつもなら、7時半になると光哉が起にきてくれるのに...
あっ、そういえば昨日、オレ光哉に。
思い出したとたん、ドッと体が熱くなり、一気に目が覚めた。
そっか。
そっか、だから起に来てくれなかったのか...
なんだか、少し悲しくなった。
ん、いやいや、おかしいだろオレ。
一人で頭を横にブンブンと振り、再びのろのろと制服に身を包みだした。
顔を洗い、コップに入れてあった牛乳をグビッと一気に飲み干し、学校に着いたら同じクラスの光哉にどんな顔をしようと考えながら靴を履いた。
ガチャ
音を立てて扉が開く。
「はぁ・・・」
ため息をつき、目線を上に上げるとそこには・・・
見慣れたあいつの後ろ姿があった。
オレに気づくなり、
「おせーよ。何分またせたら気が済むのー!もう、遅刻するし。」
いつもどおりだ。
いつものまま。
それで、オレの緊張が溶けたのかふっと体の力が抜けて楽になった。
「...光哉。」
「んー?」
「別に待ってなくても良かったんだよ?光哉まで遅刻しちゃうじゃん。」
「いーの。俺が待っていたかっただけだから。」
そういい、ニカッと笑った。
色素の薄い、光哉の髪に朝日が当たり金色にキラキラと光る。
ギュッと胸が苦しくなった。なんだでだろ。
「ほらっ、早く後ろ乗れよ。」
バンバンと自転車の荷台を叩く。
オレが、荷台にまたがると
「しっかり捕まってろよー。」
そういうなり、オレの手を掴んで、光哉の腰に掴まされられた。
昨日の今日だから、オレの心臓はそれだけの動作でドキドキとうるさく鳴る。
ん...なんでこんなにオレが意識してるんだろ?
普通は光哉が告ってきたんだから、光哉がドキドキするものじゃないの?
光哉は、なんとも思ってないのかな?
急に、オレに告白なんてしてきたくせに。
なんか、胸のあたりがモヤモヤとしてきた。
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