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見たこともない世界だった。
見渡す限りの砂。歩いているのは、見知らぬ男たち。
喉が渇く。唇の周りは、塩が吹いている。
舌が口の中に張り付くため、自ずと皆無口になる。
自分は何をしているのだろう。
ふと、下に目をやると、皺だらけで、黒く、節くれた手が見えた。
男たちに、向かって、水をくれるように言った。
しかし、声は、しわがれて言葉にならない。
一人の男が何か聞き覚えのない言葉を言って、革の袋を投げて
よこした。
開けてみると、生臭い匂いのする液体が入っていた。
自分の体が反射的に動いて、その液体を喉に流し込んだ。
どうやら水らしい。温いが少しは喉が潤った。
栓を閉め、袋を男に無言で返すと、男も無言で受け取った。
再び無言の行進が続く。
”がっ”と音がして、目が覚めた。
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