シーン1

3/3
前へ
/11ページ
次へ
汚い部屋の外で、エアコンの室外機の音が悲鳴を上げていた。 それでも、全身は汗でじっとりと濡れていた。 今年の夏は、異常に暑いな。 各地で電力制限が出て、特に、この貧民街は、料金を まともに支払う連中じゃないため、供給の優先順位は 最低レベルということらしい。 つまり、殆ど供給されることがない。 エアコンをつけて、漸く少し涼しくなっても、 電力がなくなれば、より一層暑さを感じる日々が続いている。 それにしても、今のは何だったんだろう。 考えてもすぐ忘れてしまう夢だ。 煙草を一本箱から出して火をつけた。 煙を吐き出しながら、思いを巡らせた。 以前にも似たような夢を見たような気もするが、 それも定かではない。 記憶を探るには、この部屋は暑すぎる。 考えるのやめた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加