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スッと伸ばされた右手が、
遠慮がちに理子の頬へ触れてくる。
「過去のことだと追いやったことが、
今へ流れ出てくるなんて、
思いもしなかった。
でも、オレの過去が、
今の理子さんを傷付けたんだよね」
拒まずに居たからか、
逆の手も、反対の頬に添えられた。
「たくさん、傷付けてゴメン。
過去は変えられないけど、
それへの対処の仕方は、
変えようと思う。
他のいい加減な付き合いしてた子達にも、
ちゃんと話して分かってもらおうと思う。
これ以上、理子さんを、
傷付けないように気をつけるから」
泣きそうな、それでいて真剣な瞳が、
触れそうなほど近付いた。
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