第1章

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女性と歩いて、15分後。 広い公園にたどり着き、木陰がある場所に座った。 女性は、こちらを見て口を開く。 「自己紹介してなかったですね。涼子・シュヴァと申します…歳は26歳。職業はカフェ経営で祖父と共同経営しています。椿先輩とは大学で知り合いました」 淡々と自己紹介されてしまった。 「シュヴァ」ってドイツ人に多い姓だったような気がする。日本語ペラペラだからハーフ? 祖父と共同経営…祖父? もしかして… 「祖父ってマスターのこと!?」 「父方の祖父です。私、これでも日本とドイツのハーフなんですよ。祖父の店には時々、顔を出ますから」 何この繋がりは… あれっ?父方の祖父なら、日本姓のはず…ドイツ姓って事は、何かありそう。 聞かないでおこう。 「わ私は荻野 京香です。大学3年でシュヴァさんの後輩になります…」 ぎこちない自己紹介だが、これが精一杯。 「涼子で良いですよ。しかも、同じ大学なんて奇遇!あの店によく来るんですか?」 「じゃあ、涼子さん…。よくランチに行きます。ロールキャベツが好きで」 このノリって合コン! 一対一だから、お見合い状態。 太陽の光で涼子さんの髪がキラキラと光っている。 「ロールキャベツは私が考案したんですよ。」 爽やか笑顔で迫られるから、顔が自然と火照る。 あの店のロールキャベツは本当に大好きである。 あれは癒し、そのロールキャベツを考案した人物に会えるとは思わなかった。
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