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『きょうかさん、今なんて?昼間の時間帯では話せない内容では‥』
皐の表情は固まっており、棒読みのような口調になっている。
私は自分が言った言葉を非常に後悔している。
「うっ‥だから、その‥涼子とは微妙な関係なの。肉体関係があって告白みたいのもされた。けど、正式な告白はまだというか」
自分の状況説明になると、うまく言葉が見つからない。皐の顔色がますます青くなっていく。
『私も同じような境遇だったわ。京香は私と違って、恋愛対象が‥』
皐は真面目な表情に切り替わり、一番問題な発言をしようとしている。
キリッとした顔つき、女子は喜ぶわ。
「まさにその通り。今までの私は恋愛対象が違うし、涼子に出会わない限り、こんなことまでにはなっていなかったわよ。」
最近、黒から茶色に染めた髪をいじりながら、悩みを呟く。
『うーん‥それは難しいな~。涼子さんを選ぶということは色々な決断をしないといけないよね。』
「色々な決断?」
真面目な話にマヌケな返答をしてしまった。
涼子と色々と過ごしてきて、頭の中ではゴチャゴチャと悩んでいたことがあった。
多分、そのゴチャゴチャを皐は今から言葉に変換すると脳裏に浮かんだ。
『親へのカミングアウト、世間体に対する不安、書類上の結婚、それに‥』
「それに‥」
息を飲んだ。
きっと、一番ネックな部分になる。
『子供のことかな。私と椿の場合は、お互いの親が知り合いということもあって環境に恵まれた。世間体は気にしないけど、気にするカップルもいるみたいだよ。子供は、やはり欲しい人もいるからさ‥』
淡々と語る皐。両手を組んで、肘をついている姿が数分前にアホ面していた人物と同一人物とは思えない。
「私は‥両親を早く亡くしたから、了解を得る人達はいないの。世間体は元々、気にしない性格だから。だけど、私は涼子をどこまで許せるか分からない。今まで、付き合ってきた人は異性だから許せる部分も多少あった。同性となると、変に細かく見てしまいそうで怖い」
季節は冬になり、冷たい風が足元に当たっていく。まるで、私の考えに反応しているかのように。
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