―アマヤドリ―

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締め切りが迫っているというのに一向に筆が進まない。 苛立ちを紛らわそうと灰皿の横にある煙草に手を伸ばすも、カサカサと箱に残ったカスの音しかせず苛々を増長させるだけとなった。 「…チッ」 舌打ちをして財布とジャケットを手に取り玄関のドアをあけると、しとしとと雨が降っていた。 それでも、すぐそこにあるコンビニにわざわざ車を出す気にもなれずジャケットに袖を通し傘を手にすると、苛立ちからかあたるように荒々しく扉を閉め施錠する。
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