―アマヤドリ―

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マンションから3分程歩いた所にあるコンビニで軽めの朝食を調達すると、仕事柄つい雑誌コーナーに足を向けてしまう。 資料になりそうなものがないかコーナー一帯を見渡すと見覚えのある本が目に入った。 「こんなとこにもあるのか…」 ―ー榊原綾≪サカキバラ リョウ≫ その本の背表紙にはっきり印字されているそれは自分の“ペンネーム”と言うやつだ。 何とは無しに呟いて本に手を伸ばすと、横から伸びて来た手に先を越されてしまった。 「あっ…」 思わず出てしまった声に相手が振り返る。 一目で既製品ではないとわかるスーツを纏ったその出で立ちは、相手が夜の街の住人であることを物語っていた。
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