Memory.1 ハジマリ

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あたしの存在は、完全に抹消(まっしょう)された。 「ほら、高校生なんだから、少しはオシャレとかしたら?」 どこかのブランドの紙袋が大量にリビングに散乱して。 たくさんの洋服が散らばってても。 それはお兄ちゃんのモノ。 「いいよ。紗羽に買ってあげたら?」 「全く、いつまでも死んだ妹を気にしてどうするの?」 「死んだ?死んだことにしてるのは誰だよ?」 「秋洋(あきひろ)ってば、夢でも見てるの?あの子は、去年死んだのよ?」 「…ったく。」 こんな会話をしながら、お兄ちゃんがイラついてリビングを出て行くのは毎日の事。 この前なんて。 有名なシェフがうちに料理を作りに来てくれて。 あたしは…。
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