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『僕のつくったホールでユカリが演奏する』
そんな夢みたいなことをいつだったか彼女に話した。
あの時はまだ、そんな日が来るのはずっと先だと思ってた。
だけど―
「…夢みたいな話だと思ってたけど」
彼女が静かに言う。
「叶うんだよ」
ゆっくりと僕の手の中から抜け出すと、彼女は身体をこちらに向けて言った。
「ほんとはね、ずいぶん前から決まってたの。ちゃんと帰ってきたら言おうと思って。
でも声聞いたら言いたくなっちゃって。だから最後の方は電話も出なくてごめん。
来年の春―
今度は一緒にドイツに行こう。夢、叶えに―」
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