ヒナとハル

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「花音!」 「びっくりしたぁ。どうしたの?」  息が切れる。  その原因は走ったからじゃない。 「どんな漢字!?」 「えっ?」 「ユウキヒロトって、どんな漢字か知ってる!?」  花音はしばらく固まってから、クスリと笑った。 「陽奈、そんなにユウキくんの名前が気になるんだね」  前に名前を聞いたのも花音だった。  どんな漢字なのかを気にする子は、たぶんあまりいない。  変に思われているかもしれないけど、それでもいい。 「ユウキは、結ぶにお城の城」  名字は結城。  わたしが気になる下の名前の漢字は―― 「ヒロトはね……」  花音の説明を聞いて、足の力が抜けそうになり、すぐに踏ん張った。  ……やっぱり。  やっぱりあの人は――  ユウキヒロトは――  ハルなんだ。 
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