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どうして隣に座るの?
この前は、「出てって」って言ったくせに。
窓の外に顔を向けても、隣が気になってしまい、橘くんの姿を目で追うことができない。
こんなに動揺しているわたしの気も知らないで、ハルは優雅に本を読んでいる。
ページをめくる音だけが、聞こえる。
ハルにとって今ここは、静かで読書に集中できる場所。
わたしの心臓は、うるさいくらい賑やかなのに。
この時間が早く終わってほしい。
そう思っているわりに、わたしはこの席から動こうとしていない。
なにか、話したいな。
どんな小さなことでもお互いに報告し合っていた、あの頃みたいに。
些細なことでお腹が痛くなるくらい笑っていた、あの頃みたいに。
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