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図書室で話したあの日から約１週間が経ったけど、結城くんとは一度も話していない。
傍にいつも山内さんがいるから、話そうと思っても話せないのだけれど。
むしろ、それでいいと思っている。
結城くんと話せば話すほど、自分の気持ちが掻き乱されるから。
わたしはいつも心の中で結城くんを“ハル”と呼んでいたけど、もう、それを止めることにした。
もうハルはいないから……
転校してきた男の子は、結城陽斗だから……
「陽奈、おはよう」
教室に入ったわたしを、橘くんが笑顔で迎えてくれた。
「おはよう」
「今日、空いてる？ 部活休みだから、どっか行きたいなって思ってさ」
「うん、大丈夫だよ」
そう返事をすると、橘くんは嬉しそうに「良かった」と言った。
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