第二十五話【終戦】

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「覚醒の権利【オーバーチェックメイト】」 ハルミ達がお喋りしている間にも戦いは進み、本日十二回目の覚醒。 リリィを殺すための覚醒として考えるのであれば、これは八回目の覚醒だ。 「今日の天気は豪雨だ。 気を付けな」 リリィの使う黒粒子を破るための覚醒をした粒子が、上空を覆いながら降り注ぐ。 狙いなどつけていない。 このままではハルミとグリフもズタボロにされる。 「無能力【オーバーチェックメイト】」 リリィが咄嗟に覚醒し返す。 作り出したのは黒粒子の屋根。 降り注ぐ雨はとても立派な黒い屋根で防がれている。 「大丈夫。 お家から出ないから」 覚醒の打ち合いという常識を超えた戦いとなっているが、それはとても残酷な物だった。 どう戦ってもレリュートは既に詰んでいる。 青天井に強くなっていくと思われたお互いの黒粒子。 相手の粒子を打ち破るための覚醒だが、実は上限は定められていた。 リリィの魔法は、相手の魔法を見て、その概要を把握して真似る。 使えば使い方を忘れてしまうため、同じ魔法の連続使用はできない。 レリュートは先手で覚醒をしてしまった。 使えば彼女に魔法を見られて、同様の魔法を使われる。 しかし使わなければ彼女の粒子に殺される。 お互いに覚醒し続けて、集中が途切れた方が敗北する可能性もあるだろう。 だが順当に戦えば、負けるのはレリュートでしかない。 「あなたは最強にはなれない。 人間だから」 「残酷なことを言ってくれるお嬢ちゃんだ」 超過魔法の使用過多。 自分の体が朽ち果てていこうとしているのを、レリュートは肌で感じ取っていた。
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