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「なんで歩けるんだろ」
「そりゃあ教会で治療してもらったからだよ」
アイナが入手した情報を頼りに二人は大通りを歩いている。
昨日までは不自由にしていたハルミの腕と足は不完全ながらもすでに動かせるようにはなっていた。
そもそも都会で言う所の治療というのは、教会の僧侶に天法で治療してもらうのが一般的で、怪我を薬草で治しているのは本当に田舎くらいなものだ。
「骨折がこんなに簡単に治るんですね。 治療する天法もあるんだ」
「治療魔法もあるよ。 ていうか、戦闘の才能が無いっていう挫折組が治療側に流れる場合が多いかな?」
やはりそう簡単に英雄になれるものではないらしい。
やはり自分もそういった挫折組になるのだろうかとハルミは自分に問いを投げかけた。
「さて、マスターの話だとだいたいこの辺りでキャッチをさせられてるらしいよ」
「キャッチ? なんのですか?」
「それはちょっと言いにくいかな……」
どうやら町ではちょっとした有名人になっているそうだ。
とても珍しい、というか本来あり得ないことをさせられているとか。
「でも疑わしいなぁ。 よっぽどのバカじゃないとそんな仕事しないと思うんだよね」
どんな仕事をさせられているのか、そしてそれはグリフなのかリリィなのか。
「いや……ちょっとバカな子っていうのは心当たりが……」
言い終わる直前。
ハルミの目はとても低い位置でさらさらの金髪が揺れているのを捉えた。
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