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「二千ハルトです! 二千ハルトぽっきりです!」
かん高い幼子の声が町へ響き渡っている。
「リリィだ……」
「えー、本当にやってるの?」
住み込み食事付きで飼われている幼女がいるというのはこの辺りでは有名らしい。
観察しているとたまにお菓子を貰ったりして、それを食べている間は看板を放り投げて夢中で頬張っている。
「何やってるんだ? リリィ」
「…………ハルミ!」
少しだけ間があったのは、おそらくハルミの顔を忘れていたためだろうと推測できる。
「人を呼ぶお仕事してるの!」
「どこに呼ぶの?」
「お風呂屋さんだって言ってたよ?」
その言葉を聞いたとたん、アイナはハルミの肩をぽんと叩き、悲しそうな顔で首を横に振った。
「そういう風呂屋か。 やけに高いと思った」
しかし興味が無い訳ではない。
「ちょっと連れて行ってくれない?」
「こらやめろ!」
アイナがスゴイ剣幕でハルミを制したため、女の人が洗ってくれるという大人の風呂屋に入ることは出来なかった。
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