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討伐隊の見送りには中々の人数が集まっていた。
ハルミは参加せずに宿屋二階バルコニーからその光景を眺めているが、どうにもグリフは見当たらない。
「グリフいないね」
リリィの声はとてもつまらなそうに聞こえる。
「それにしてもスゴイ統一感の無さね。 町の腕自慢やら流浪っぽい魔法使いやら」
「そういえば僧侶には教会っていう拠点があるのに、魔法使いにはありませんね」
「魔法使いって国に良い顔されないんだよ。 ほら、魔法って魔物の技術でしょ?」
国交のことを言われるとどうにもハルミの頭は拒絶反応を起こしてしまう。
難しい話にはお手上げだった。
「あーあ、私も参加すれば良かったかな。 五千ハルトもあればちょっとは贅沢できるのに」
「お風呂……」
「こら! そんなの行かないで良いお嫁さん見つけなさい」
良くモテた姉とは違いハルミには彼女がいたことがない。
やはり強くならないと何も始まらない、心の中ではいつもそう思っていた。
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