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「町長は行かないんですね」
小太りの優しそうな顔をした中年男が、何やら演説をしている。
健闘を祈るだとか、討伐隊に栄光をだとか、そう言った建て前を述べているところを見ると政治的な何かを感じてしまう。
「これで討伐成功したら次の選挙もあの人で決まりね」
アイナも同様のことを考えていたようだ。
「気になるんですけど、町長の後ろで妙に挙動不審な男は誰なんでしょうか」
「秘書じゃない? ……でも前に見た時あんな男の子いたかなぁ」
町長の後ろにピッタリと張り付き、出来る限り人々の視界に入らないように工夫をしているようだ。
そんなにイヤなら壇上から降りればいい。
「ひょっとしたらガードかもよ。 あんなに弱腰でもめちゃくちゃ強いとか」
「はははっ! だとしたら魔法使いか僧侶でしょうね」
そんな冗談を交えて話していると、後ろから金髪幼女の邪魔が入った。
「ねぇ、遊ぼうよー」
「だってグリフを見つけないと……」
「やだー! 遊ぶ!」
どうにも引きそうに無いリリィを見て、笑いながらアイナが助け船を出す。
「遊んできなよ。 私が情報集めて来てあげるから」
こういうことをさらっと言える大人になろう、そう思ってハルミはリリィを連れて外に出た。
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