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宿屋の入り口から外へ出ると、ちょうど討伐隊の行進に出くわした。
近くで見るとやはり威圧感があり、ハルミが束になっても勝てるとは思えない。
「あ、でも女の子もいるのか」
何人かの女の子はその大半が魔法使いか僧侶なのだろう。
武器も持っていないし、体格もそれほど恵まれていない。
「あっ! こら!」
なんとすばしっこいことか、リリィはハルミの目を盗みチョロチョロと討伐隊の間へと割り込んだ。
悲しいことにハルミには行列に割って入って行く度胸は無く、オロオロとうろたえることしかできなかった。
「リリィ! 帰ってきなさい!」
その声は虚しく響き渡り、誰として返事はしてくれない。
せっかく合流したのにまた離れてしまったら面倒くさくなる。
「何だよ……追いかけっこのつもりか?」
「こんな町中で? バッカじゃないの?」
後ろから話しかけてくるのは顔の半分が包帯で隠れている女の子。
正直なところ性別もあまりはっきりとは言えないし、年齢すらもよくわからない。
しかし急に聞こえた罵倒の言葉は高めの女性声であり、とても機嫌の悪い声にも聞こえた。
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