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「勝ったよ! ハルミ!」
レリュートの亡骸を見てお祈りをした後、リリィは笑顔で振り返った。
「ハルミ……?」
戦闘中、変に静かだと思っていた。
応援も無ければ野次も飛んでこない。
それに加え、レリュートの最後の覚醒で王都全域が危険に晒された時も反応は無かった。
「……寝てる」
グリフとハルミがとても幸せそうに寝息を立てている。
疲れも溜まっていただろう。
命を賭けて戦っているリリィの後ろで、安心感に包まれたのか彼らはいつの間にか眠ってしまっていた。
しかしリリィはまだそんなことを笑顔で許せるほど大人ではない。
「ばかあああっ!」
根本ではまだやはり子どもであるリリィは、大声を上げながら黒粒子をハルミとグリフの寝転がる地面へとぶち込んだ。
レリュートが防衛から外れたことで、戦局はいつの間にか変わっていた。
空を飛んで行ったことを見計らった兵士の一部は、穴を通り敵本陣へと特攻。
そして最強の駒であるレリュートは戦死。
革命軍は対抗策が尽きて、王国軍は全てを制圧した。
長いようでとても短い、たった半日ほどしかなかった革命戦争は終結。
気が付けば王都には、次の日の始まりを告げる朝日が登り始めていた。
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