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「いたい!」
べちゃっという効果音が似合いそうなほど、綺麗に地面へと落ちたリリィ。
急にハルミの拘束が解かれたことに驚くメルも、必死に魔力珠を探すハルミもその事には気が付いていなかった。
「いたい……」
「うう……」
「うわあああああん! いたいよお!」
突然の痛みに泣き出してしまったリリィの元へハルミは急いで駆け寄った。
ちゃっかりと彼は魔力珠を拾い上げ、すでに口の中へと放り投げている。
「ほら、痛くない痛くない」
「いたいよお! うわあああ!」
「大丈夫だから。 な、ほらほら」
泥だらけの服にも関わらず、リリィはハルミの胸で大泣きしていた。
背を向けてリリィをあやすハルミの姿を見て、激昂するメル。
「うるさいっての!」
「……こうなると中々泣き止まないんだ」
妙に冷静な口調のハルミ。
彼の言葉には静かな怒りが滲み出ていた。
「ふん、言いたいことがあるならはっきり言いなよ!」
箒で身構えるメルに、ハルミはリリィの頭を撫でながら振り返り立ち上がった。
「よくもリリィを泣かせたな……!」
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