1人が本棚に入れています
本棚に追加
「春ちゃん…?」
今 聞こえた…
確かに 聞こえた…
春ちゃんの声…
「春ちゃん!」
「香織ちゃ…逃げて…」
春ちゃんが言った後、弦が襲いかかってきた。
「ギャーッ!」
ハエを叩くような感じで、弦が真上から落ちてくる。
いや…叩かれる!
「潰されるーっ!」
「力使うわ! じゃないと死んでしまう!」
「わ、わ わ わ わかった!」
黒い弦から逃げまくるルクナルは黒と赤い光を放った。
そして二つの光は弦を貫いてく。
貫かれた弦は灰になって消えていった。
黒い光は刺し…
赤い光は灰にする………
と 言うことなのかな。
「彼女を放してもらうわよ!」
ルクナルに応え、黒い光が春ちゃんを捕らえる弦を貫かせた。
ズルリと弦から崩れ落ちる春ちゃんを、いつ来たのか、燎が受け止めた。
「え? 燎…?」
「助けに来た」
それだけ言って燎は春ちゃんを抱えて弦から離れた。
春ちゃんが手元から居なくなると、弦は蕾のように丸まり始めた。
何かを…飲んでいるように見える
最初のコメントを投稿しよう!