第 十一 魔『人間界』

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「春ちゃん…?」 今 聞こえた… 確かに 聞こえた… 春ちゃんの声… 「春ちゃん!」 「香織ちゃ…逃げて…」 春ちゃんが言った後、弦が襲いかかってきた。 「ギャーッ!」 ハエを叩くような感じで、弦が真上から落ちてくる。 いや…叩かれる! 「潰されるーっ!」 「力使うわ! じゃないと死んでしまう!」 「わ、わ わ わ わかった!」 黒い弦から逃げまくるルクナルは黒と赤い光を放った。 そして二つの光は弦を貫いてく。 貫かれた弦は灰になって消えていった。 黒い光は刺し… 赤い光は灰にする……… と 言うことなのかな。 「彼女を放してもらうわよ!」 ルクナルに応え、黒い光が春ちゃんを捕らえる弦を貫かせた。 ズルリと弦から崩れ落ちる春ちゃんを、いつ来たのか、燎が受け止めた。 「え? 燎…?」 「助けに来た」 それだけ言って燎は春ちゃんを抱えて弦から離れた。 春ちゃんが手元から居なくなると、弦は蕾のように丸まり始めた。 何かを…飲んでいるように見える
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