32人が本棚に入れています
本棚に追加
私の言葉に、クロト君はムッと顔をしかめました。
毛が若干逆立ってます。
『…んだよそれ、せっかく俺様が誘ってやってんのに!』
『…すみません。』
『その男はお前との約束破ってんのにお前だけ律儀に守るとかばっかみてー!』
『…。』
でも、きっとマスターは私がちゃんと約束を守るって信じてくれてます。
なら、私もちゃんとマスターの期待に応えたいです。
だから。
『ごめんなさい、行けません。』
『ッ!』
フシャー、っと一気に毛を逆立てたクロト君。
私には沈黙することしかできませんでした。
『…あーそーかよ!』
ひらりと窓際まで飛び乗ったクロト君は窓枠に爪を立てるとこちらを振り向きました。
『馬鹿みたいな奴!お前が頑張ってあいつの言うこと聞いたってあいつが約束破って仕事優先したのは事実だろ!』
『…だって、お仕事だから仕方ないです。』
『それだって、本当が嘘かわかんねーじゃん!』
『…え?』
『案外その弟子とかとデートだったりしてな!お前なんてもう飽きられてんじゃねーの、たかがペットだろ?尽くした割にあっさり捨てられたりしてな!!』
『…あ。』
『…あ…。』
クロト君が言い過ぎたとばかりにしまったという顔をしたのと、玄関のドアが開いたのは、ほぼ同時のことでした。
「…あそこのケーキおいしかったですね!師匠!」
「…甘ェよ。」
…そうですね、私猫ですもんね。
最初のコメントを投稿しよう!