ある猫の接待

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「…ヤバい、マジで一瞬意識飛んでたよね俺ふざけんなよクロムハーツ。…ねえクロちゃん俺の頭無事?ちゃんと無事?もげてない?生きてる?」 「…にゃあ。」 「お前の頭が残念なのは元からだろうが。…クロ。」 一瞬どころか数分気を失ってましたよ。 マスターが紅茶を入れて一人楽しむくらいの時間はありましたよラスクさん。 ソファーに腰を下ろしゆっくりと紅茶のカップに口を付けるマスターはとても絵になりますが反省の色はなさそうです。 呼ばれるがままに近寄れば、お菓子のかけらを口元へと差し出されました。 フィナンシェですね。 相変わらずマスターはお菓子の趣味も良いですうまうま。 しかし私はマスターの猫です。 マスターのお客様が来たなら接待をして当たり前。 ちなみに例のお姉さんだとかその他押し掛けてきた人々は接待すべき客とは見なしません。 「にゃーん。」 「クロちゃんんんんん…!」 さあさあ存分にこの白いふわっふわの毛並みを楽しんでいいのですよラスクさん。 ブラッシングも喜んで。 すりすりと足下に体を寄せれば抱き上げぎゅう、と抱きしめられました。 すみませんあんまり力が強いと出ます、色々出ます。 「えへへ…」 力を緩めろと顔面にかました猫パンチすら笑って受け止めているんですからそろそろラスクさん駄目かもしれません、相当疲れてます。 普段なら離せだとか文句を言うマスターが嫌そうではありますが私をラスクさんに預けてますもん、相当です。 大丈夫ですかラスクさん、でも鼻水はつけないで下さい。 毛がごわごわになるじゃないですか。 「…で、今日は一体何の用で来たんだ。まさかクロに会いに来たってだけじゃないだろう。」 「うん、まあクロちゃんは動機の一つでもあるんだけどさ。一応用はあって来たよ。」 ラスクさんは私を床におろすとマスターの向かいに座った。 そうですよねそうですよね、ふつうはそこに座りますよね。 私はもちろんマスターのお膝の上ですよ。 「…ねえクロム、弟子を取る気はない?」 …弟子?
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