ある猫と弟子と黒猫と

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  「きゃーっ、かーわいーいっ…!!」 そんなに悪い人じゃなさそうだなあと思いました。 *** 「えへへ、今日からよろしお願いしますね、クロムハーツ師匠!」 「…七日間だけな。」 ラスクさんがうちに来た日から一週間。 ついに新しいお弟子さんがやってきました。 ブラウンのショートボブが可愛い女の子です。 私を見た瞬間に歓声を上げてくれた辺り、きっと良い子なんだろうなと思います。 「師匠!これから私たちはどうするのですか?」 「…俺が手伝うお前の分の仕事は渡されてある。動物の惨殺された死体が最近急激に発見されるようになった。犯人がターゲットを人間に移行する前にとっつかまえろ、だと。」 「なるほど、切り裂きジャックの動物版なんですね!」 君は私が守るよ!なんて言いながら私を撫でてくれる彼女はやっぱり良い子です。 あ、クッキーを分けてくれるんですか?ありがとうございます、うまうま。 それにしても、追いつめられると人間は何をするか分かりませんからね、マスターもお弟子さんも十分に気をつけて下さいね。 怪我は嫌ですよ。 痛いことは体に悪いんです。 「にゃあ。」 「…クロは心配する必要はない。お前は俺が守る。」 「にい。」 守って貰う必要はあんまりないんですけどね。 むしろマスターを私が守るんですよ。 私マスターの猫ですから。 「…噂通り、本当に溺愛してるんですね。」 「あ?」 「大魔導師クロムハーツの愛猫、結構有名な話ですよ。あんまりに溺愛してるから、実は人間なんじゃないかとか噂が色々飛び交ってますけど、本当にただの猫なんですね。」 「…。」 僅かに、一瞬だけマスターが何かを思い出すように目を閉じる。 そうですね、マスターは私を大事にしてくれていますが私猫です。 「…噂に興味は無ェよ。」 そうですね、私もマスターが入れは十分です!
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