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恋の始まり。
そんなモノを、考えた事なんてなかった。
ただ、毎日が同じ事の繰り返し。
朝起きて、仕事に行って、お昼を食べて、また仕事。
終わった後は、一人だったり、女と一緒だったり。
そして、寝る。
このなんて事のない、繰り返しに、嫌気がさしていた。
「恋をすると、毎日違った気持ちになれますよ!」
ある女子社員がそう言った。
受付に座る、会社の華。
くりくりの目に、ふわふわに巻かれた髪。
男を誘う唇には、蜜がたっぷりとぬられていた。
この蜜に、一体何人の男が引っ掛かったのだろうかと、考える。
「千藤社長は、恋……してないんですかぁ?」
甘ったる声が、下から上へとのぼってくる。
その目は妖しく、俺を誘う。
「ないね。恋だなんて……煩わしいモノ」
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