プロローグ

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満月が霞む春の朧月夜(おぼろづきよ)。 時刻は午前1時過ぎ、こんな時間に外にいるのは仕事帰りのサラリーマンか、夜遊びに明け暮れてゲーセンとかカラオケとかに行っちゃう不真面目な不良学生くらいだろう。 といっても後者の場合、ゲーセンやカラオケがこんな時間まで営業しているわけもなく、しょうがないので路頭に座り込んで駄弁るのがこの辺の不良学生の暇つぶしだ。 「はぁ…はぁ…はぁ…」 そんな不良学生やサラリーマンの間を縫うように走り抜けていく一人の女性がいた、スーツを着ているので多分OLなのだろうが…その様子が尋常ではない。 「はぁ…はぁ…何で…!何で…!」 女性はかれこれ10分は走り続けている、途中でヒールは両方とも脱げてしまったのだが、女性はそれどころではない。 「いや…!いや…!」
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