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「さ、どうするんだい?」 私は特殊な病気だったって、おばあちゃんが言ってた。 難しい事は分からないからよく覚えていないけど。 「この心臓を買うのか、買わないのか」 ずっと眠っているお母さんは、とっても幸せそうな顔をしていた。 もし目覚めたとしても、今日の取引を知ったら、きっと。 「……」 笑ってくれない。 喜んでくれない。 「一生懸命お金を貯めて、またおいで。この心臓は誰にも売らないでおくから」 奇抜な眼鏡の店主は、そう言って笑った。 今まで見た事がないくらい、下手くそで奇妙な笑顔。 何て不器用な人なんだろう。 ふわっと体が軽くなった気がして、私も何故か笑ってしまった。
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