0人が本棚に入れています
本棚に追加
「さ、どうするんだい?」
私は特殊な病気だったって、おばあちゃんが言ってた。
難しい事は分からないからよく覚えていないけど。
「この心臓を買うのか、買わないのか」
ずっと眠っているお母さんは、とっても幸せそうな顔をしていた。
もし目覚めたとしても、今日の取引を知ったら、きっと。
「……」
笑ってくれない。
喜んでくれない。
「一生懸命お金を貯めて、またおいで。この心臓は誰にも売らないでおくから」
奇抜な眼鏡の店主は、そう言って笑った。
今まで見た事がないくらい、下手くそで奇妙な笑顔。
何て不器用な人なんだろう。
ふわっと体が軽くなった気がして、私も何故か笑ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!