始まりの始まり

5/6
前へ
/130ページ
次へ
 そうあれはもう二年半も前の話しだったんだ。 『私は子供の頃からずっとお花屋さんになりたいと思っていたの』 私はその時陽菜ちゃんに自分の夢の話をしたんだ。綺麗な花で埋もれて仕事がしたかったのだ。ただの私の理想の形だったのだけど…… 『それなら、専門学校で資格取らなくちゃ』 『えっー!? お花屋さんになるのに資格なんているんですか!』 私は本当にマジに驚いていた。 そうなのだ。私は何も知らず、ただ憧れていただけだったんだ。 『専門学校って言うと、お金掛かりますね?』 『うん、私が調べた限りでは、入学金やらで百万円くらいだったかな?』 陽菜ちゃんの返事で私は黙ってしまったのだった。 陽菜ちゃんは農業短期大学に進んで花の勉強をすると言った。 私達の夢は同じだったんだ。だから更に意気投合して、又一緒に此処に来ることを約束していた。  私は陽菜ちゃんの勧めで、一年間で卒業出来るフラワーデザイン造形科を受験してその資格を取ることにした。 卒業すればフラワーデザイン三級や装飾技能士三級の資格が与えられるのだ。 これは花屋さんで働くためにどうして必要な資格だったのだ。 そう……私の夢はやはりお花屋さん。 何時か自分で栽培した花でお店をいっぱいにすることだった。 子供のころから描いていた夢は陽菜ちゃんの助言により開花しようとしていたのだった。 花屋さんに勤めればそれでいいと思っていた私は、貯金もしてこなかった。 だってあの時はまだ高校生だったから、お小遣いしかなかったのだ。 だから授業料などを捻出するために一年間アルバイトをすることにしたんだ。 私が卒業する頃、陽菜ちゃんも卒業する。私達は東京で一緒に暮らすことを夢見ていたのだった。だから本気でルームシェアを考えていたのだった。  フラワーデザイン三級や装飾技能士三級の資格を取った後で、私はそれを武器に都内のフラワーショップで就活してきた。 でもなかなか決まらなかった。だから陽菜ちゃんに相談に乗ってもらうことにしていたんだ。 それも今日…… 私達が再会した後で、陽菜ちゃんの知り合いの花屋さんを紹介してもらう手はずだったのだ。資格はあってもそれを活かすことのは大変だったのだ。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加