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「俺達も昨日着いた時、この庭を見て驚いたんだよ」
「爺さんは寂しい人で、やっと出逢えた孫の傍を離れたくなくなったんだ」
「ホラ美紀だよ、美紀が爺さんの孫だったんだ」
「俺達が大阪の社会人野球チームに入ることになった時、庭もキレイにしたはずなのに……」
「一ヶ月も経たないうちにこうなったようだ。爺さんはそっちの方が心配だったんだな」
「そうだよな。俺達のことより、家や庭の管理だな。よし、そうと決まったら早速ルームシェアだな」
「ルームシェア?」
「住める部屋は六個。そのうち三個は事情があって使えないんだ。だから残りの三個を俺達で割り振ったばかりなんだよ」
「兄貴や俺とは違い、大は教師になるために勉強しなくちゃいけないから、俺達が相部屋なら問題ないな」
「俺はヤだよ。やっと一人部屋になったんだ。これからは手足が伸ばせる生活をしたいんだ」
「何言ってるんだ兄貴。二段ベッドでも同じようなものだったくせに」
直樹君はそう言いながら笑いだした。
「中村さん。兄貴は凄いんだよ。二段ベッドの下で寝ているんだけど、大の字なんだ。上に寝てたらきっと墜落すると思うよ」
「何でそんなこと此処で言うんだ」
秀樹君はプイッと横を向いた。
(何だか難しい人みたい。甲子園のマウンドではカッコ良かったのに……)
私は少しがっかりしていた。
(陽菜ちゃん私とんでもないことになりそうなの。今からでも助けに来て)
私は又陽菜ちゃんに救いを求めていた。
私がこの家で生活していくためにはこの中の三人とルームシェアしなくてはいけないようだ。
だれと相部屋になりたいか私が決めなくてはいけないらしい。
私は又も考えあぐねていた。
ルームシェアはイギリスでは一つの部屋に複数で住むこと。
フランスではコロカシオンと言い、家賃の分配の意味だそうだ。
それぞれの国でそのスタイルは違うようだ。
でもアメリカでは一つの家を共同で借りて住むことらしい。
一つの部屋に共同で住む人はルームメイトと言って区別しているそうだ。
陽菜ちゃんがルームシェアのことを話題に出した後ですぐに調べてみたんだ。
私は誰とそのルームメイトになるのか結論を出さなくてはいけないのだ。
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