いざ新転地へ

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 結婚式の後、ダーリンと美紀の邪魔をさせないために智恵さんのお父様が秀樹と直樹を連れ出した長尾家。ダーリンはベッドの上に座り、美紀の肩に手を掛けたの。 でもその時、美紀の体は又私が乗っ取っていたの。 せっかくの初夜。それなのに…… ううん、それだからこそダーリンとの一夜を期待したの。 美紀は美紀で、やっと愛するパパと一つになれる。その幸せだけで胸が張り裂けそうだったの。 そんな美紀の思いを知ってか知らずか、私には待ちに待った一時が訪れてようとしていたわ。私はここぞとばかりにパパに甘える美紀の振りをしたの。 でもダーリンも本当は気付いていたみたい。それでも、どうしょうもなく体は燃える。ダーリンはもう我慢することは出来なかったの。 「美紀!!」 ダーリンはわざとそう言いながら、私を抱き締めたの。 (珠希……愛しているよ。でも俺は美紀に恋してる。だから今は邪魔しないでくれないか?) そんなダーリンの声が聞こえて、私は仕方なく美紀から離れたの。 ダーリンは目の前にいる美紀から魂が抜けたように感じたのかな? だから改めて美紀を抱き締めたの。 美紀の髪から私の香りがする。美紀は私の愛用していたシャンプーとリンスで髪を洗っていたの。本当は違うのよ。私が美紀にそうさせていたの。ダーリンに気付いてもらいたい一心で…… 「お馬鹿さん」 ダーリンは拗ねたように、美紀から離れたの。 「俺のこん中にいるのはお前だけなんだ。だから珠希の真似なんかしなくても……」 ダーリンは胸を叩きながら辛そうに言った。本当は抱きたくて仕方ないのに……  美紀は恥ずかしそうに俯いて、バスルームを目指したわ。でも其処には私用のシャンプーしか無く、思い余った美紀は秀樹のミントシャンプーを手にしたの。 ――ガチャ! ドアの閉まる音がする。振り向くとダーリンが立っていたの。 ダーリンは美紀を背後から抱き締めてくれた。男性用のミントシャンプーの香りに包まれながら美紀は女になっていく。その日私は……ううん、美紀は初めてパパと結ばれたの。 私の夢が叶った瞬間だったわ。だから私はすかさず美紀に憑依したの。 ダーリンは目を白黒させながら……それでも愛してくれたのよ。
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