いざ新転地へ

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 本当はずっと此処で、美紀に憑依したままダーリンと暮らしたいの。 でも結局私はお邪魔虫。だから、引っ越すことにしたの。息子達に憑いて行くわ。だって心配なんだもん。解るでしょ、母心…… ま、口実には違いないけどね。 ダーリンに抱かれながら私は気付いたの。ダーリンが美紀を深く愛していることに…… その時私は美紀に嫉妬した。メラメラと燃え上がるジェラシーと言う炎。 私は消すすべもなく、ただ美紀にダーリンを取られまいとして必死だった。 だから……美紀のためにもこの家に居ては駄目だと思ったの。  春分の日に、全員がこの家に集まったの。 あの結婚式の日以来、秀樹と直樹は結城智恵さんのお父さんと一緒に暮らしていたの。大阪の家を借りるためには間取りとか知らなくちゃね。 その家までたどり着けるように地図も教えて貰ったりしてたのよ。    でも私はどうしたらいいのかな? だっていくら何でも、息子達に憑依は出来ないでしょう? だから息子達は先に出発させたの。 そうしておいて…… さっきから人材探し。美紀が私の七回忌の予約確認で外出したからチャンスなのよ。 あ、あの子がいい。私も若返りたいからね。きっと又美紀と同じ位な歳かな? さあ引っ越しのコンテナが出発する前に乗り込むわよ。この子の体に入り込んで出発。ついでにコンテナ車も出発。いざ新天地へGO! 大阪で一度暮らしてみたかったの。いい機会だから思いっきり羽根伸ばしてくるかな?  美紀に一番初めに憑依していた結城智恵さんは、夫である真吾さんとお姉さんの待つ天国に旅立って行ったわ。でも私は誰も居ないの。 両親は健在だしね。だから、まだ彼方には行けないのよ。 美紀はダーリンに任せておけば良いのだけど…… 問題は二人の息子。双子で野球のバッテリーなの。 結城智恵さんのお父さんが、偶々職場の近くに家があって貸してくれることになったの。でも、どんな暮らしをするか心配で憑いて行くことにしたのよ。 大阪か? きっと美味しい物が沢山あるんだろうな? イヤだ私、涎が出てる。待っててね大阪。
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