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「あれっ此処何処!?」
ふと我に返る。目の前に広がっているのは、全く知らない景色だった。
それに……此処は? 何だか暗くて狭い。目の前の景色が良く見えない。
それと、身体中が何かに当たったようでとても痛いのだ。それが何なのかさえも判らないほど頭の中はこんがらがっていた。
もう一度目を凝らして周りを見てみる。でも何も見えない。光りで反射しているみたいで眩しくて堪らない。私は思わず目を瞑った。
(私は何をしているのだろう?)
でも、いくら考えてもこの状況を納得させるものはなかった。
私はさっきまでバス停に向かう道を急いでいた。新宿駅の前で中川陽菜(なかがわひな)ちゃんと待ち合わせするためだった。
数年前に開通したの副都心線で、朝早くなら横浜方面に行けるんだ。きっと満員だと思うけど、池袋で乗り換えなくて済むから便利だと思っていた。
又親友とに会える。そう思うと嬉しくて、早起きしてしまった。
朝早くから支度をして、少しのんびりしていたらあっという間時間オーバー。
だからギリギリ間に合う電車に乗り込もうとしていたのだ。
幸いなことに平日なので通勤通学用のバスは多い。時間は解らなくても其処で少し待てば乗り込めると思っていた。だから早足で頑張っていたのだ。
だから此処に居ることが信じられないのだ。
「何でこんな場所に居るの?」
「それは此方のセリフだよ」
「ん!?」
その言葉に振り向くと、引っ越し業者の帽子を被った人が私を睨んでいた。
(えっ、何か悪いことしたかな?)
私はまだこの状況を判断出来ずにいた。
「無賃乗車か?」
「えっ、違います!!」
私はそう言いながら、もう一度周りを見た。
(無賃乗車と言えば電車ね。でも此処何かが違う……)
壁で全面仕切られた部屋のようだ。それも金属に近い。
(うーん、やっぱり解んない)
私は頭を抱えた。
(悪い夢でも見ているのだろうか? それとも現実?)
私は更に頭を抱えた。
「此処何処?」
私は仕方なく聞いた。
「此処が何処だか解んないのか?」
引っ越し業者の運転手のような男性は呆れたように言った。
「此処はコンテナの中だ。とぼけるのもいい加減にしろ!!」
言葉を荒げる男性の声が私に更なる恐怖をもたらしていた。
(一体、何がどうなっているの!?)
心が悲鳴を上げていた。
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