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12コーナー、通称「ウィリアムズコーナー」を通過すると、ホームストート方向から甲高いエキゾーストノートが響いてきた。
先行するGT500クラスのレースが始まった。
GT300クラスの集団もホームストートに帰ってくる。
ストレートエンドにはGT500クラスが舞い上げた水しぶきで、視界がかなり悪くなっていた。
『凛、ストレートエンドの視界かなり悪くなってるからブレーキング気を付けてな』
僕はアクセルとブレーキを交互に踏み、エンジンとブレーキを温める。
『焦る必要はないでぇ。こんなコンディションや。少しくらい順位落としたとしても気にすることおまへん。タイヤのデータもないんや。あんま飛ばさんで、ゆっくり行こうな』
大丈夫。
ブレーキングアクションは良好。
タイヤの温まりは、あまり良くないが、しっかりグリップしてくれている。
僕は無線の送信ボタンを押した。
「全車ぶっちぎって、一位で山川さんにステアリング渡します」
先行車がスピードを上げた。
僕もアクセルを開ける。
スーパーGT開幕戦岡山。
82周のレースが幕を開ける。
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