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確か昨夜【着信拒否】したはずだ。そう自分に言い聞かせながら不在着信の相手を確認する為、私は再度ー携帯ーの画面に目をやる。
画面に表示された相手の名前を確認すると何とも言えぬ安堵感に包まれ、私は一人不気味にも笑ってしまった。不在着信の相手は、河上課長からであった。
着信時間を確認すると昨夜の22時。仕事の緊急連絡だったらどうしようと出勤前に連絡する事にした。数秒間の呼び出し音の後に!河上課長は電話に出た。電話から聞こえて来た河上課長の声は、普段と違って不機嫌さが伝わって来た。
私は『すみません。昨夜不在着信があった事に今気付いて連絡遅くなりました。』と即座に謝った。河上課長からは返答が無く『課長…どうかしました?昨日のオリエンテーションで不手際がありましたか?』私は河上課長に問い掛けたのである。すると河上課長から思いもよらぬ言葉が返って来た私はその場で凍り付いた。
『…。おいっ!涼川~お前今日から来る木下って分かるか?昨夜、俺が残業してたら事務所に泣きながらお前に嫌われた。って何回も何回も同じ内容の電話寄越して来たぞ…オリエンテーションで何かあったのか?』
私は絶句して河上課長に何も言えなかった。言えなかったと言うか、どう説明して良いかなすすべが無かった。
河上課長は『聞いてるのか?何でも連絡を取りたいと伝言預かったんから~事情は分からないが、連絡先知ってるなら出勤前に連絡してやれよ』と言って電話を切った。
私は、ー携帯ーを握り締め自分の部屋の天井の一点を見つめた。
小刻みに身体が震えた。弥生に対しての【恐怖】と【激怒】からだ。
何なの?
何がしたいの?
【着信拒否】した事に私への嫌がらせ?
私が悪いの?
私は河上課長の言い伝えを拒絶する事にして、出勤支度をし普段より早目に家を出る事にした。
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