彼女との奇妙な出逢い

3/3
前へ
/12ページ
次へ
弥生は、私を弥生の隣の席に座らせ終始笑顔で喋り続けた。 この日私は、新入社員とのオリエンテーションと題した簡単な顔合わせ・説明会にこの会場へ来ていたのだ。 私は、この弥生の一年先輩にあたる。弥生は、新入社員の一人だ。 弥生は、私には関心が無いのであろう… 上の空で聞いていようが、めんどくさそうに視線を外しても私には御構い無くずっと話続けているのだから。 しかし弥生は、事もあろうか私の高校時代の後輩であり、近所である事を知り衝撃を受けた。 弥生は、それが大変嬉しかったようで携帯番号の交換を申し出たのだ。 私は、一瞬戸惑いを見せたが今後、弥生とは同僚となる事もあり社交辞令程度に承知した。 が、この直後私は【後悔】と言う言葉が脳裏によぎった。 他の新入社員も集まり、オリエンテーションが始まった。私は、司会進行をする為に弥生の隣の席を静かに離れた。 弥生はそれでも話続けた。室内の空気が妙な感じになり、弥生のペースでオリエンテーションは終了したのだ。 弥生はオリエンテーションの最中ずっと旦那とのなり染め、夜の営み、子供の名前の由来等を部屋全体に聞こえるボリュームで話続けたのだ。 聞こえないふりをする者。相槌を打つ者。弥生の存在を無視したかのように私の会話に耳を傾ける者。私はと言うと、聞こえないふりをした。 ただ、弥生の存在はむしろ無視する事など出来なかった。私のすべき事に意識を集中するも弥生の会話が終始嫌でも耳に入って来てしまうからだ。 弥生は、帰り支度をする私にまた歩み寄って来た。私は足早にこの場から去ろうと考えていた。考えていたと言うより先に行動に出ていたのです。 弥生は、私の腕をギュッと掴んで! 『お茶しない?』と言い私の腕を掴んで走り出した。私は戸惑いを感じつつも断る事が出来ず、弥生に導かれ部屋を出た。 ちなみに私は女性である。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加