受験勉強×ピーターパン・ドリーム

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「あんたのときは、この不況が終わって、いいところに就職できるんだろうな」と、愚痴りながら、OLをしている、お姉ちゃん。  そんなことありえない、そんな保証はどこにもないって、ことがわかっていない。これからどんどん、人間がいらなくなる時代。人間一個の価値がどんどん下がっていく時代。  自分が、どうしたいのか、とか、自分が何をすべきなのか。どうしたらいいのか、そういうことが、何にもわからないから、何もかも適当にしたくなる。  いや・・・そんなことないって、現実を見つめなきゃって思いながら、頭を振って、時間割を見た。 「一時間目、英語。二時間目、現国。三時間目、日本史。四時間目、化学。五時間目、英文法。六時間目、代幾。ほんっと、生徒泣かせの時間割よね。」  文句を言ってもしかたがないと、わかりながらも言ってしまう。  そして、また、手を止める。   いや、何もかも適当に流されるのが、いやだから、自分のしたいことも見つけられず、自分が、どうするのがいいのかもわからず、かといって、人と違うことをしてアウトローになる勇気もない、あたしは、この世界から逸脱したくなる。  そう、今から、逸脱すれば…。  今、逸脱すれば、面倒なこと、すべて消える。  毎月毎月やってくる、携帯電話の請求書。  息つくまもなくやってくる、定期試験に、模擬試験。  親の目。友達の目。教師の目。近所の目。世間の目。  次から次へと出てくる、作られた「流行」。それを追いかける自分。  逸脱するのは、簡単。  ここから飛び降りればすむこと。  別に、一筆書き残さなくてもいい。  どうせ、たとえすぐに忘れても、このときばかりは、みんな悲しんでくれるのだから。  あたしは、再び、窓の外を見た。  隣の室外機は、まだ、うぃんうぃんと、うざったい音を出し、生暖かい空気を外に送り 出している。  独り言のように大声を出す、携帯電話女の声は、先ほどの甲高い笑い声から、泣き声に 変わっている。  何をしているのか、駐車場の車のエンジン音も、そのままだ。  窓枠に、立ってみた。  一歩踏み出してしまえば、そんな音からも、周りの声からも開放される。  開放されたい!!!!!
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