受験勉強×ピーターパン・ドリーム

7/16
前へ
/16ページ
次へ
「あほちゃうか?」 「くる、るぴ!るぴ!!!」 ???!????!????!  あたしは、まだ、開放されていない。  なのに、背後に声がした。 「な、何?!」  全身緑の服を着た、男…というより少年が、あたしのベッドの上に寝転んで、あたしを見つめていた。そして、その少年の頭の上に、インコくらいの大きさの、人形(?!)が腰掛けていた。いや、それは人形ではなかった。動いている。透き通ったカゲロウのような羽を持った、ニンゲン? 「何ってなぁ。あほちゃうかって、言うたんやけどね。」  その少年は、起き上がって、あたしのほうに向かって、あぐらをかき、そう言った。  あたしの足は、自分でもわかるほど、足が震えていた。 「そのまま、足踏み外したら、あんた、死ぬで」  あたしは、不安定な足元を見て、そうして再び、少年を見ようとしたが、バランスを崩し た!!!!自分の上体が、ぐらっと大きくゆれ、足がわふっと軽くなるのを感じた。  だが…! 「ほ~ら、言わんこっちゃない。手間かけさせんなや」  足が軽くなると同時に、体が軽くなっていた。  足の下には、もう、何も存在していなかった。 「何…??誰…???どうなってるの…????」 「何…の答えはなぁ。あんたに見せたいもんがあってきたんや」  今度は、あたしの上から、声がした。 「誰…の答えは、まぁ、名前を言うと、ピーターパンってとこやな」 「くぴるぴ★」 「こいつは、ティンカーベル」 「るるる★」  目の前に、鳥のような、人形のような…え、え、え、え、え…?!  あたしはもう死んでしまったのかと思った。  ピーターパンの話は読んだことがないけれど、知ってるよ。なんとなく。  ウェンディがピーターパンとティンカーベルとネバーランドで冒険する。そう、大人にならない国で。あたしは、そんな非現実的な話、き・ら・い。人間って、大人になるものでしょ。大人になるために、勉強したり自分を磨いたりしないといけないわけでしょ。確かに、いやいややってる雰囲気はあるけれど、そもそも、大人にならないなんて、ばかげてる。ニンゲンは成長が止まることなく、大人になる。そんな考えを持っている現実的なあたしが、どうしてこんなモンを見なくちゃいけないのよ。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加