第二章~英雄の資格~

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眼前に現れたのは爪竜隊だった。 轟く竜声に怖じけづく兵達。 敵の策にはまり追い込まれるファウスト。 「このままで終わるギルバート隊ではない!」 そう言うと槍に付いた紐のような物を解いた。 ファウストはギルバート隊である。 隊長のギルバートをはじめとする主要メンバーは魔法攻撃をほぼ使わない。 ファウストも使えない訳では無いが、魔法攻撃を一切使わない。 代わりに普段から身につけているアクセサリーや武具に自信の魔力を溜め込んでいる。 またその魔力を解放したさいの戦闘力は一個大隊と同等と言われる。 振りほどいた紐はファウストの腕に絡み付き、鋭い閃光を放った。 「さぁ反撃と行こうか!」 掛け声と共に槍を構えた。 力を解放させたファウストは一瞬にして爪竜隊の三分の一を倒した。 「ギルバート隊の一番槍、その身に受けたくば前へ出ろ!」 ファウストは卓越した槍さばきで次々と爪竜隊を倒していく。 「何をしている貴様等?」重々しい声とともに一際大きな爪竜が姿を現す。 「竜がしゃべっている!?」 ファウストは身構える。 「我が名はドラグニール・・・。人間、我が竜爪小さなその身で受けきれるか?」 少し馬鹿にしたように言う。 ドラグニールは大きく息を吸い込み、身を裂くような鳴き声を上げる。 「ヴォオオオオォォォォ!!」 そのままファウストに向けて突進する。
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