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木々が揺れるほどの衝撃が辺りに響いた。
ファウストはドラグニールの突進を真正面から受け止めていた。
「ほう・・・我と力比べか、面白い。」
ドラグニールは両腕に一層力を入れる。
両者は五分五分に見えるが、初期能力の差が見え始めた。
「この程度か・・・。」
ファウストは徐々に押され始める。
「ぐぬぬ・・!」
骨が軋む。
単純な大きさでも十倍以上ある。
「うぉぉおお!!」
押し返すファウスト。
「とりゃぁああ!!」
ドラグニールをそのまま押し飛ばした。
ドラグニールはその巨体とは裏腹に宙で身返る。
ドンと地を揺らし着地する。
「少しは骨のあるようだ・・・。」
「だが、これまでだ・・・。」
重々しい声はその巨体を奮わせる。
辺りの空気が変わる。
同じ爪竜達も身を引くほどの禍々しい魔力を感じる。
空に雷雲がかかる。
一際大きな雷がドラグニールに落ちる。
辺りを黒煙が包む。
ファウストは唾を飲む。
「この姿になるのも久しいな・・・。」
重々しい声にもまして、禍々しい魔力と雷をまとったドラグニールが姿を現す。
その姿は見るものを固まらせるほど神々しくもあった。
「流石、雷帝と呼ばれるだけあるな・・・。」
ファウストは誰に言うでもなく呟いた。
「神雷の力、その身で知るがいい・・・。」
大地を揺るがす咆哮と共にドラグニールはファウスト目掛けて突進する。
押し寄せるその巨体はまるで怒り狂るう積乱雲のようだ。
ファウストは全身に魔力を巡らせる。
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