第二章~英雄の資格~

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その頃ダンは森を駆けていた。 遠くから肉の焦げる臭いが木々の隙間から流れて来る。 遠くの空は雨雲がかかっていて時折雷鳴が轟いている。 「急がなければ・・・。」ダンは走る速度を早めた。 肉の焦げる臭いがきつくなった辺りで戦場痕が多くなりはじめる。 「・・・近いな。」 雷鳴も一層大きくなる。 そこに友軍の別動隊が目に入った。 ダンはすぐに駆け寄った。 「ここで何をしている?」 そう言いながら箱を運んでいる事に気が付いた。 「これは?」 ダンはだいたいの察しは付いていたが問いただした。 小隊長は仕方なく答える。 「これは大事な任務なのです。」 小隊長は自分達の行動に納得をしていないような口調で続ける。 「他国がこの期に攻め入るのは必至、ならばせめて宝玉だけでもとの命・・・。」 ダンは何処にも向けられない怒りを抑え、小隊長に補充物を手渡すと急ぎ最前線へ向かった。 途中、息のある兵を見つけては治療を試みたが、設備も技術も無いダンにはどうしようもなかった。 『上の命令』それを自分自身知らなかった事、奮闘している最前線の兵達、事実を知っていながら仕方なく命令を遂行する別動隊。 込み上げる怒りを胸に最前線にたどり着く。
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