第二章~英雄の資格~

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最前線は酷い有様だった。 ダンに気付き助けを求める兵達。 「ダン隊長!ファウスト隊長が・・・我々はこのままでは全滅してしまう・・っ!」 ダンは事実を言うまいか迷っていた。 が、伏せたまま残存兵達をまとめ一時退却とファウストの救出を優先した。 ここまでの奮闘が無駄になってしまう。 そう考えたが、上の考えに乗せられている自分にも少し嫌気がさした。 ファウストを見つけることは容易だった。 雷鳴の大きい方へ向かうだけだった。 眼前には壮絶な戦いを繰り広げるファウストと巨大な竜の姿があった。 戦況は明らかだった。 身体を活性化させているおかげで傷こそ目立たないが、流血が酷い。 息も荒く魔力も消耗しているようだ。 ダンは気が付くと竜に切り掛かっていた。 ファウストはそれに合わせ、技を繰り出していく。 なんとか間合いを取り、ダンは離脱を促す。 「このままではただの負け戦だ、一旦兵を引いて態勢を整えるぞ!」 ファウストは予期せぬ言葉を返した。 「ダメだ!」 覚悟を決めたかのように続ける。 「今ここで撤退でもすればこちらに宝玉が無い事が知れてしまう。」 ファウストは最初からすべて分かっていたのだ。 「ここで散った命・・・無駄にする気は無い!」 ダンが自分が会った別動隊はもう安置所に着いている頃だと告げてもファウストは引く気が無い。 「俺は国の為、宝玉を他国の手から守り抜く!」
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