第二章~英雄の資格~

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一筋の閃光。 ドラグニールにはまるでダメージが無かった。 だがそれは目を開いたファウストにはわずかでも希望の光に見えた。 「・・・な」 言いかけたファウストにダンは間一髪間に合ったと笑いかける。 ダンは剣を構えドラグニールを睨みつける。 「これ以上仲間はやらせない!」 ダンの体を魔力が包み込んで行く。 切り掛かかるダン。 それをいなすドラグニール。 長期戦になれば数で勝るドラグニール側の有利だが、ダンには不思議とどうにか切り抜けれる気がしていた。 切り結ぶ刃。 生死を賭けた戦いの最中、ダンは自分の体の異変に気付き始める。 身体は軽く、魔力が溢れて来る。 強力な技を繰り出してくるドラグニール。 それを軽くいなすダン。 不思議な感覚に戸惑うのはダンだけではない。 ドラグニールは少しづつその変化が分かってきた。 全身に一層魔力を込めるドラグニール。 大技の連発も増えてきた。 一方のダンは不思議な感覚に戸惑いながらも、その感覚に流されるように切り結んで行く。 一瞬ドラグニールは間合いを取り、最大の魔力で雷撃を繰り出す。 辺りに響いたのは凄まじい轟音だった。 ほうけていたファウストでさえその余波に身構える。 黒煙混じりの砂煙りがダンがいたであろう場所から昇る。
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