第一章~天使と黒騎士~

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―戦場。 まるで大規模な爆撃でもあったかのように平原はえぐれ、無数の元兵士の残骸が転がっている。 空中に漂うソレは巨大なオブジェのような姿で、その異様な姿は生き物とは思えない。 何人かの兵士がおのおの呪文を唱える。 炎や雷、石の槍などが空中の的目掛けて飛んで行く。 攻撃はすべて命中し、煙があがる。 「やったか?」 兵達は様子をうかがう。 やがて煙が晴れ、そこには残酷な光景が広がる。 「な、無傷・・・だと?」兵達から次々と落胆の声が上がる。 一人の屈強そうな兵士が周りを一喝する 「手を休めるな!」 周りの兵士達は既に戦意を半分失っている。 「ただ無駄に死にたい奴は固まっていろ!生きたい奴は俺に続けっ!!」 そういうと屈強そうな兵士は大きな雄叫びとともに剣を構え、的に向かって走り出した。 それを見て周りの兵士達は援護するように次々と魔法を唱えていく。 屈強そうな兵士が呪文を唱え、剣を大きく振りかざした。 剣先から衝撃波が空中のオブジェ目掛け飛んで行く。 無数の魔法もその後に続き次々とヒットしていく。 煙があがり、視界から目標が見えなくなっていく。 まるで積乱雲のようにもくもくとあがった煙が巨体を包んでいく。 刹那、一筋の光が地面目掛けて落下した。 少し遅れて轟音と共に爆発が起こった。 兵士達はまるでポップコーンのように四方八方に吹き飛んでいく。 四肢がまともに有る者はほとんど居なかった。 辺りにうめき声や叫び声が充満していく。 「うぅ・・・。」 「腕が・・俺の腕が・・っ!」 「・・・。」 あまりの光景に逃げ出す兵士もいた。 「た、助けてくれぇ!」 「だ、誰か・・・誰かたす・・・。」 兵士達の声は次第にやんでいった。 一方的な展開。 これが天使と人との差である。
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