プロローグ

1/4
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ

プロローグ

それは、世界が『善』と『悪』だけで出来ていた頃の噺である。 また、その時の神もやはり二柱しかいなかった。『善神』と『悪神』である。 その二つの神がどういうものか説明するならば、  『善神』の性格は、良く言えば、人々が崇拝するのも無理もないくらいに優しく、分け隔てなく済い上げるようなものでした。しかし、悪く言えば、余りにお人好しでした。特に、悪徳に満ちた者たちを助けた時には、それに虐げられた人々がひどく嘆き哀しみました。 『悪神』の性格は、良く言えば、『善神』が出来ない汚れたことでも世界が良くなるなら喜んで請け負えるような、理性に富んだものでした。しかし、悪く言えば、その手は余りに汚れ過ぎていました。必要なら、どんなに善良な人でさえも殺すことをいとわなかったのです。それを人々は忌み嫌いました。この世がこんなに辛いのは『悪神』がいるからにちがいない、と常に人々は忌々しく口にします。 これは、そんな二神の物語。そして、この世の全ての『魔法』の起源の噺でもあります。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!