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「村長様、こんばんは」
「ああ、リンちゃんこんばんは。それと、『様』はいいよ。恥ずかしいから」
「いえいえ、この村は村長様が復興のためにおこしになった時から変わったと聞いていますので。そのため、外にも村長様に好意を抱いてる人が多いのだとか」 リン穏やかな微笑で返しました。
「変わったか……そうだな……あんな好意なんて本当はいらないのに……」
すると、老人は先ほどまでの皺枯れながらも優しい声がうってかわり、底知れぬ絶望にうちしがれるような低い声で呟きました。
突然の反応に、リンは怪訝そうな顔できょとんとしてしまいました。
「リン、もう日が暮れてしまう。さっさと家に帰ろうか」
村長と一緒にいた中年女性がそう声をかけました。
「はい、おばさま。村長様、もう日が遅いので今日はこのくらいで帰らせてもらいます」
「ああ、それじゃあリンちゃん」
元の優しい声で村長は答えました。
二人が歩きしばらくすると、二人は住んでいる家に着きました。それはお世辞にも豪華とはいえませんでしたが、整備だけは気味が悪いほどにしっかりとなされていました。二人は、庭に敷かれた、不揃いだけど綺麗に磨かれたタイルを渡り、家の中に入りました。
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